どっかの馬鹿の妄想と生活と創作についての雑記。
∴ ぼくとねえさん。 「お姉ちゃんが守ってあげるからね」
それが僕の姉さんの口癖だった。母さんと父さんが会社の赤字がどうとかいう話でずっと喧嘩してて家が大荒れになった時、姉さんは僕と押入れに隠れてずっとそればかりいっていた。 今思えば、あれは自分に言い聞かせていたのだなあと思う。自分が暴力を振られるのは弟を守っている為だと自分に言い聞かせ、その辛い気持ちを前向きなものに変えていたのだと。 いつも押し入れから引きずり出されて折檻されている姉さんの僕を見る目は薄暗かった。僕は押入れの奥で、自分の口に手を当てて、僕の身代わりに引きずり出されている姉さんの顔眺めながらいつも思った。 ごめんなさいごめんなさいと。 僕が出て行けば何かが変わったのかもしれないと。思う、思うけど僕は幼くてどうしようもなくて、その幼さに甘んじているが故に前に出ることができなかった。 いってしまえば僕は自分の未熟さを盾に姉さんが折檻されるのは当然だと思っていたわけだ。姉さんが身代わりなのは年長者として当然のことだと。 外での姉さんはいつものように優しく微笑んでいて、辛いことなんて最初からなかったかのように笑っていた。そして家では毎日毎日辛い思いをしていて、誰も助けなくて、僕もあてにはできなくて。 だから、そんな姉さんが酷く歪んでしまったのは当然のことなのかもしれない。 姉さんは僕が外に遊びに行くことを嫌がった。嫌がると言い方には可愛げがあるけれど、そんなレベルのものじゃないのは僕がよく知っていることだ。 簡潔に言えば激怒、あるいは憤怒。 自分の目の届かない場所にいるのは嫌がったし、友達と公園で遊ぶことも嫌がったし、僕が外で転びようものなら一緒に遊んでいた友達に喚(わめ)き散らした。 本当に姉さんがおかしくなったんだなあと僕が認識したのは割と最初の方だった。 僕が近所の友達と秘密基地で遊んでいた時のことだった。家では姉さんのすすり泣く声と父と母の喧嘩が酷く、僕は家にいることが酷く嫌になっていた。だからよくそこに入り浸っていた。 日が沈み、友達は先に帰り、僕も嫌でも帰らなきゃいけないという時間帯になり僕が外に出ると姉さんが赤いポリタンクを持って扉の傍にじっと立っていた。 僕がどうしてここに……という前に姉さんは秘密基地のあばら屋にポリタンクを投げ入れ、中身をぶちまけ、火をつけた。 メラメラパチパチと燃え上がる秘密基地を僕が呆然と眺めていると、姉さんはいつものようにニコニコ笑って、もうここに来なくていいねと言った。 その日から僕は姉さんが歪んでしまっているんだと認識するようになった。 (線路は続くよどこまでも) ※練習なのでもうちょっとだけ続くんじゃ。 PR ∴ この記事にコメントする
|
∴ フリーエリア
幸せになりたいと思うけど、幸せを手に入れた瞬間、幸せを失うことを意識しなければならない。いつか消えてしまうことに怯えなければならない。だったらずっと不幸のままでいい。
あとネットで小説とか書いてます。ヤンデレとか好きです。
∴ プロフィール
HN:
鬱
年齢:
125
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1900/06/07
職業:
ニート→ライター(笑)→ニート
趣味:
読書、アニメ、映画鑑賞、引きこもること
自己紹介:
幸福論でいけば確実に不幸な人間です。それに加えて変人です。自分ではそうは思わないのですが、みんなが口を揃えて変人というので多分そうです。人間関係苦手です。そんな名古屋人。
∴ ブログ内検索