どっかの馬鹿の妄想と生活と創作についての雑記。
∴ 聞いた話 「すげえよ、もう」
彼女は以前、そういう心霊相談所のようなところでアルバイトをしていたことがあるのだという。 自分のバイト先を彼女は悪徳霊感商法事務所と笑って言った。 「大抵、相談してくるのって金持ちだったりするのね。金持ちの奥さん。さらに神経質だったりして、全然霊なんていないわけ。まあ所長に霊能力なんてないから結局意味ないんだけどさ」 その所長のアクドイ手口というのは、こうだ。 まず予め情報を集めておく。クライアントの元へ訪問し、霊の詳細を聞かずに、幽霊の情報を指摘する。次に、適当に霊を退治したかのように振る舞い、信頼を得る。そして経過報告を聞きに来たというていで奥さんをデートに誘う。 「そんで、寝て、金を絞るわけ。所長はホスト崩れだったんだけど、こっちの方が儲かるって笑ってたよ」 寄ってくるのが金持ちばっかりだからねえと彼女は笑う。騙す方も騙すだけど騙される方も騙される方だとも。 “本物”だったらどうするのか、というと、自分では対処できないといって、別の所にたらい回しにするのだと彼女は言った。 「紹介料も取るんだから、ほんと悪魔だよ」 ヤのつく仕事の女に手を出して、その男は行方不明になったそうなのだが、現実は幽霊よりも恐ろしいと私は思った。 PR ∴ わたしのはなし。 「恫喝するんだよ、分かる? 恫喝って」
初めて彼女と“そういうこと”をすることになった時の話し。わたしが恐る恐る聞くと彼女はそういった。 聞くと、大したことない霊は恫喝するだけで、どこかにいくのだそうだ。 そうではない危険なタイプはどうするのか、と聞くと彼女は偉そうに鼻で笑った。 「相談者が相談してくる時点で大したことない。危険だったらそんなことする前に死んでるでしょ」 一瞬納得しかけて、すぐにそんなことあるかと私は思った。相談者が当事者とは限らない。 「じゃあ、こっちも聞くけど、感じる時ってどんな感じ」 一瞬、下ネタかと思って私は顔を赤らめた。黙ったままの私を見て、不思議そうな顔をする彼女に遅まきながら、ああそっちのと心で毒づいて、答えた。 寒気がするのは基本。次に頭の奥が膨らむような痛みがする。そして飛行機のエンジン音に似た耳鳴り。 耳鳴りは滅多にないが、ある時は本当にマズイ時だと私は説明した。 「耳鳴りなんてよくある。勘違いじゃないの」 そう彼女は言う。 私が普通の耳鳴りとは違って耳の奥でエコーがするのだというと、へえと言いながらも信じていない風に笑った。 耳鳴りがした時の話しを彼女に説明した。途中で彼女は「ああ、もういいわ。聞いてるだけで、気持ち悪い」と言った。 私は少しとぼけたように笑って「誰もいないのに私の名前を呼ぶ声」の話しを続けた。 ∴ わたしのはなし。 彼女は見ることができるが、感じることはなかった。私は対照的に感じることはあるが、見ることはできなかった。
彼女は私の知らない知識を知っていたが、私の知っている知識を彼女は知らなかった。 霊験あらたかな人間かと思えば、彼女は浜崎あゆみが好きだったり、俗っぽい人間だったりした。 知り合いのつながりで霊的な話しを受けることがあって、私はよく連れて行ってもらったが、よく彼女は逃げ出した。 「あっはー、あれね、無理無理。化けてるもん」 人の形をしている霊はまだまともなほうで、人の形をしていない霊は意思疎通以前の問題でどうにもできないらしい。 わたしは調子のいい時だけアンテナの感度が上がるたちであまり使い物にならなかったが、いないよりもマシだと言われてよく連れられた。 彼女が無理な物件から華麗に逃げている時、視界が明滅した。明かりが消えかかり、またつくようなそんな感じだった。 それを彼女に伝えると彼女は酷く驚いたような顔で本当に?と語気を強めた。カーステレオの音量を下げながら、私がどうしたのと聞いた。ガガガSPという歌手の歌だったのを覚えている。 「見られてる」 そう彼女は言う。 曰く、化けてるのがついて来てるのだそうだ。 意味が分からなかったが私は分かった風な顔でそうか、と頷いた。 「あんたを連れてきてよかったわ。このまま家に帰ってたら、家について来てるところだった」 その日は朝日が登るまで、彼女とファミレスでドリンクバーとポテトで粘った。 随分前に見ていた映画がhuluで配信されることになって思い出した。
(最近の私は映画を借りるのが面倒になってhuluという動画配信サービスで映画を見てる) ストーリーは貧困層の出である青年、それも知識もなく学もないインドの男が、ミリオネアというクイズ番組で尽く難問を突破していく。制作スタッフは彼がカンニングをしていると思い、警察に突き出すが……というお話し。 カメラワークや構成は普通によい。 特徴的なのは色使い。どれもこれもがインドという世界、貧困層という世界の色を見せている。 地獄と天国の対比のような、貧困層から出たあとの色使いの違いは新鮮で「ああ、なるほど」と納得させられた。 物語は正直な話し、サクセスストーリーだったりする。でも、その過程が非常によくできていて、魅せてくれる。 彼は才能があったわけでも、環境に恵まれていたわけでもなく、等身大の“彼”なのだということを我々は知ることになる。そういったストーリーだった。 よくある「彼は幸せになるべくして幸せになり、問題を回避すべくして回避した」というものがあるが、彼は違うのだ。 彼の一生を見て、誰もがこう思う。「もうそろそろ、幸せを掴んだってバチはあたらないはずだろう?」 そう思うほどに彼は誠実で、愛に満ちている。 キャラクターの幸せをただひたすら祈るという二時間は思いの外、貴重な体験だった。 ぜひとも他の人にも見て欲しいと思う。 |
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幸せになりたいと思うけど、幸せを手に入れた瞬間、幸せを失うことを意識しなければならない。いつか消えてしまうことに怯えなければならない。だったらずっと不幸のままでいい。
あとネットで小説とか書いてます。ヤンデレとか好きです。
∴ プロフィール
HN:
鬱
年齢:
125
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1900/06/07
職業:
ニート→ライター(笑)→ニート
趣味:
読書、アニメ、映画鑑賞、引きこもること
自己紹介:
幸福論でいけば確実に不幸な人間です。それに加えて変人です。自分ではそうは思わないのですが、みんなが口を揃えて変人というので多分そうです。人間関係苦手です。そんな名古屋人。
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