どっかの馬鹿の妄想と生活と創作についての雑記。
私は声を荒げる。枯れるまで、枯れるくらいに、燃え尽きるように。
「××! ××! いいから、だから上がって! マフラーなんてどうでも、どうでもいいから!!」 海の波は小さい、だけど時期は真冬で、××は風で飛ばされたマフラーの為に海に飛び込んだ。私は白いマフラーに向かって全力を振り絞っている馬鹿な××に喉を潰すんじゃないかというくらいの声で叫ぶ。周りに人がいようがいまいが構わない。ただあの人の安否が気がかりだった。 頭の中でグルグルと心肺停止だとか、溺れて死亡だとか縁起でもない言葉がざわざわと浮かぶ。胸が張り裂けそうになってどうしていいか分からず、その場であたふたしてしまう。 ふいに××の頭が海から消えた。 「あああああああああああ!?」 私は狂乱した。遊歩道で見ていた何人かの見物人が「オイ、本当にヤバイんじゃないかアレ」と騒ぎ立てる。私はいても立ってもいられず、海に飛び込もうとした。 瞬間、××はすぐ近くの海から顔を出した。近くで見物していた男から安堵の溜息が漏れる。私もその場にへたり混んだ。 ××は相変わらず何が嬉しいのかニコニコと笑って私のマフラーを掲げている。唇は真っ青だ。本当にもうこの人は……。 「馬鹿ァ!!」 途中でタクシーを拾い、デートは切り上げて家に帰った。小洒落たケーキ屋とか見たかったけどだいなし。 「うううう、寒い寒いよ。あはは、漫画みたいに鼻水出るよ。たらーんって」 「前から馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、ほんっと馬鹿ね。あのまま死んじゃえば、よかったのに」 テーブルに置かれた暖かいうどんに微笑み馬鹿の微笑みも更に増してる。悔しいけど、この笑みがもう……。 「うん、○○を好きになっちゃうくらい俺は馬鹿なんだよ。いただきますっ」 「本当に馬鹿なんだから。兄さんの馬鹿。私を置いて死んだら絶対、許さないんだからね」 「ごめん、でもマフラーなくならなくてよかった」 「私には兄さんがいてくれさえいれば、いいんだから」 「ありがとう」 「うん」 「七味、入れるのもう止めていいよ」 「うん」 「いやだから、止めて」 「ばーか」 終わり。 PR ∴ この記事にコメントする
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幸せになりたいと思うけど、幸せを手に入れた瞬間、幸せを失うことを意識しなければならない。いつか消えてしまうことに怯えなければならない。だったらずっと不幸のままでいい。
あとネットで小説とか書いてます。ヤンデレとか好きです。
∴ プロフィール
HN:
鬱
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125
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性別:
非公開
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1900/06/07
職業:
ニート→ライター(笑)→ニート
趣味:
読書、アニメ、映画鑑賞、引きこもること
自己紹介:
幸福論でいけば確実に不幸な人間です。それに加えて変人です。自分ではそうは思わないのですが、みんなが口を揃えて変人というので多分そうです。人間関係苦手です。そんな名古屋人。
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