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どっかの馬鹿の妄想と生活と創作についての雑記。
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僕の部屋だった。
「裸とはつまり、人間の自然体だと思うわけだよ」
「おう、それで?」
「服を着るという動作は、既にその自然に反した行いなわけだ。息をすることが当たり前なのに、息をしないように必死になっている子供のように」
「だから?」
「だから、歌を唄います。聞いて下さい、公権力と私」
裸の女をグーで殴る。窓ガラスが割れるのは嫌だし、こいつの両親が高級そうなお菓子を片手に地面に額を擦りつけて泣くのも見ていて辛いから、最近は通報だってしてないし、鍵もかけてない。適当にあしらってる。
でも、僕と間違って知らない人にコートの中身をさらけ出すのは、さすがに僕も許せない。しかも女性だった。
これは嫉妬とかではなくて、社会の秩序の話しだ。
あの子にはよく言って聞かせたけど、じゃあ僕がコイツを助けなかったらどうなっていたんだ。
「せ、説明したよ? あなたじゃなくてその五メートル後ろに呆然とした顔で私を見つめている少年に、コートの中身の裸体を晒そうとしていたのであって、目標はお前みたいな私より可愛くて性格良さそうなメスじゃない! って。でも、さすがにそこまでいうと傷つくかもしれないから、後半はあなたも十分に私の性の対象になりうるけどというフォローだって」
正座で、座らせる。
ストレッチして距離を取り、走って飛び蹴りを食らわせた。
「おい」
「…………はい、すみません。ちょっと、調子乗ってました。あのお電話いいですか? 自分で両親呼びます」
「早くしろ」
「へへっ、いつもすみません」
何だか酷く悲しくなった。

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長毛種、というのがウチのネコのハチコの分類らしい。雑種だが、親が長毛種だった為に毛が長いのだ。
冬は随分と暖かそうにしているが、夏は地獄の釜を覗くような目で、日陰から真夏の日差しを眺めている。デブネコなのもその要因なのだろう。
今年の夏は例年よりも一層熱いらしく、ハチコの機動力と行動力を大幅に削いでいるようだった。

ある日のこと、ウチのハチコがタンスの上で寝言を言っていた。閉じた瞼をピクピクと震わせて、ヒゲを揺らしている。
何を言っているんだろうと気になった私は、ハチコの声をスマートフォンのアプリで解析してみることにした。そういう翻訳機のようなものがあるのだ。

音声を機械に通し、結果を待つ。出た。
「吾輩からすれば利他的な遺伝子は、利己的な遺伝子に対して、種の保存という観点から見た場合数歩遅れを取るように思える、。何故ならば、利他という行動は常に他の同種の為に生命的な危険に晒されるからだ」
私は頭を抱えた。いろんな意味で。

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「魔法使い」
夜の帳。今一度、彼女は言葉を反魂させる。
「魔法使い!」
「何故、あなたが……」
少女は驚いた。彼女は手を貸さないと無碍に自分を断った相手だった。
自虐的に少女が語る「靴べらのような義手と義足」ではない。かといって、それは事故で失われた手足でもない。それは戦闘用の無機質な腕と足だった。少女に差し伸べる手は人によって作られた手だった。
「無様だな、魔法使い! しかし、私が来たからには安心しろ。目下目前、全てを焼き払うことを約束する。科学の力を持ってして、全て打ち壊し、全て踏みにじり、全て噛み千切る」
彼女は凶悪そうに笑い、血反吐を吐く少女を引っ張る。
「どうしてここへ……?」
「理由などあるものか。そうだとも、誰かを救うということに理由などあってはならない!」
分厚いメガネの向こうがキラリと光った。
「さあ、魔法使い。君の出番はここまでだ。あとは私が踊り狂う番だ!」
彼女は敵にライフルを向けて、引き金を引いた。


こういう厨二病っぽいのはどーでしょう。

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「話しって?」
私がそう聞くと、彼女は「いつも暇でしょ」と笑って当たり障りのない話しをした。
私はそこで何となく違和感のようなものを覚えたが、あえては聞かなかった。ただ、いつも連れているはずの子供が車に乗っていないことによくないものを感じた。
「……そういえばさ。○○って怖い話しとか好きだったよね」
「昔はね」
下り坂前の赤信号にさしかかった。隣は自転車屋だが、店主の姿は見えない。
「何で? 今は好きじゃないの? □□とかと仲良かったよね」
彼女は残念そうな顔で私を見てそういった。手に入るはずのものが手に入らなかったかのような、そういう失望の色だ。
「何かにハマる時期ってあるじゃん。アイドルとか歌手とか、そういうのと同じ。私はたまたま、それが」
オカルトという言い方は格好をつけているようで、少し恥ずかしかった。
「それが、ホラー的なものだったってだけ」
「あ、そう」
彼女はだまり、スピッツの空も飛べるはずという曲を選曲し、アクセルを踏んだ。
その後、タバコを吸うかと聞かれ、私は吸わないと答えた。
「霊っていると思う?」
「さあ、いるかもしれないし、いないかもしれない。何で?」
唐突に始まったその一言に私の中の違和感が氷解(ひょうかい)し始めた。
そもそも彼女はそういうものを面白がりはするが、信じたりはしないタチなのだ。
「何となく」
長い沈黙があった。
「どうしたの? 何かあった?」
「あったらどうする?」
「帰る」
「何で?」
「巻き込まれたくないから」
私がそういうと彼女はアクセルを踏みながら、こちらを見て睨んだ。
「ムキになってる! やっぱり気のせいじゃないんだ!」
「前見て、危ない」
「助けてよ、あたし、そんなつもりじゃなかった。本当にいるなんて思わなかった!」
私と道路を交互に見ながら彼女は激高した。
そこで何を指しているのか分かったが、私は意地悪く笑った。認めると、やっかいなのは、経験上分かっている。
「何の話? どうしたの、おかしいよ」
「後ろの席見てよ」
私は見た。
「……それが?」
「見えないの? だってよく“そういう”話ししてたじゃん」
「何が?」
私は手探りで、車の解錠を確かめて、彼女に首をかしげた。
「だから、ずっとついて来てるの! それが、ずっとずっと! 夜もずっと」
「取り憑かれたって言いたいの? あのね、幽霊なんていないよ。全部、幻。自分の頭の中で創りだした幻覚なんだって」
「やっぱりムキになってる! やっぱりいるんだ! あたし、幽霊だなんて一言もいってないし」
それみたことか、と彼女は興奮気味に息巻く。私は深呼吸を繰り返して、言葉を尖らした。
「私には分からないけど、本当ならお寺とか行ったほうがいいんじゃない?」
「もう行った」
「それでどうだったの?」
「それぐらい分かるでしょ? 今、こうなんだから!」
「とりあえず、帰らせてよ。帰らせてくれないなら、自分で歩いて帰るけど」
「あははは、そうなると、“それ”が○○についていくかもよ? 私と一緒にいた方がいいんじゃないの?」
それが本当ならば、とっくに別の人間に移っているだろうと私は思った。即ち、私に移動するようなものではない。
「帰る」
「……」
私が扉に手を掛けると彼女は無言でアクセルを強めた。
「どうすればいいの?」
「紹介してよ」
「誰を?」
「□□」
“詳しい”友人の名前だった。
「いいよ」
私は笑った。
「もう死んでるけど、それでいいなら」

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幸せになりたいと思うけど、幸せを手に入れた瞬間、幸せを失うことを意識しなければならない。いつか消えてしまうことに怯えなければならない。だったらずっと不幸のままでいい。
あとネットで小説とか書いてます。ヤンデレとか好きです。
プロフィール
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年齢:
125
性別:
非公開
誕生日:
1900/06/07
職業:
ニート→ライター(笑)→ニート
趣味:
読書、アニメ、映画鑑賞、引きこもること
自己紹介:
幸福論でいけば確実に不幸な人間です。それに加えて変人です。自分ではそうは思わないのですが、みんなが口を揃えて変人というので多分そうです。人間関係苦手です。そんな名古屋人。
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