どっかの馬鹿の妄想と生活と創作についての雑記。
∴ 寝起きに。 「まずは話しをしよう」
女は僕の部屋でオレンジ色の夕日に照らされて笑った。 「何を話すっていうんだ。っていうか僕の部屋でなにしてるの?」 「ある日……」 あ、無視された。 「ある日の私は思い悩んでいた。三丁目に住む田中君の下着の匂いは一体どういう香りをしているのだろうと。洗ったばかりの匂いはやはり洗剤の香りがするのか? いやそれとも、洗剤の香りの中に微かに残る色香があるのではないだろうか。いや、ならば洗う前の匂いもしらなくてはならいだろうという意見は最もだが――」 「誰の意見だよ」 「まあ、いろいろあって」 あ、端折った。 女は窓辺に腰掛けて空を見て、また笑った。 「私は君の下着を盗もうと二階のガラスをかち割った。興奮とは裏腹によじ登るのって結構大変で、私は足を滑らせて転んでしまった。意外と君の部屋は高い位置にあって、私はそこから落下したわけだよ。死を覚悟したりしたよね、走馬灯とかも見たよ。なんかいろいろ、汗とか涙とか出たよ。びっくらこいた」 「カッコつけるなら最後までやり通せよ、飽きるなよ」 僕はかばんを机に置いて、ベットに腰掛ける。ちなみにこの女のことは知らない。 全くの赤の他人です。ふーあーゆーです。 「死ぬかと思った。死ぬだろうと思った。でも運良く、庭のモミの木がクッションとなって私は無傷でいることができた。その時悟った。いや啓示のようなものを感じたよ」 「え、どんな?」 「これはもう、脱ぐしかないとね」 「ああ、だから裸なのか。いつ切りだそうか僕も迷ってたんだ。そして死ねよ、ド変態が」 部屋に入ったら窓はカチ割れてるわ、下着は物色されてるわ、あまつさえ裸の女が僕のパンツ被ったまま喋り出すわで頭がおかしくなったかと思ったわ。 っていうかおばさん、一階にいて気がつかなかったのかな。まあ、まさか裸の女がいるとか思うわけないだろうけど。 「神の啓示に従い、君にセクハラをしようと私は思ったよ! 毎日君の登下校に裸のコート姿で現れてやろうとか、下着を送りつけて反応を楽しもうとか計画して、少しクールダウンするために君の部屋を物色していたら君が帰ってきて、また死ぬかと思って現在に至るわけだ。警察は本当に不味いので、私の体で許してくれると嬉しい。なんなら揉むかい?」 「おばさーん、部屋に変態がいるんだけどさー、そー、変態。どーすればいー? えー、やっぱ警察ぅ?」 PR ∴ 人食いさん。 「バカーぁ! こうなったらやけ食いしちゃいますからー!」
「そ、それは不味い! 人類的な意味で!」 俺と人食いさんを遠巻きに見ながら微笑ましく笑っている人類諸君。これは君たちの危機なのですよ。 猟奇的な出来事のきっかけで、君が……あるいは君の大切な人が「髪型が変わったことに」気がつかなかったという瑣末な理由で、彼女の胃に収められるのである。人類のいち個体としては大変、遺憾な出来事である 女の子走りをしながら駆けていくその様は確かにレディのそれなのであるが、その実は路地裏に潜む野獣なのだ。簡単に言えば口がぱっくり開いて人間とかまる齧りする。 多分、人間と同じ食事でも一向にかまわないだろうが、人食い曰く本能的なものらしいので、我慢するのは体に毒なのだそうだ。 『性欲みたいなものです』 『我慢していただけませんか?』 『あなたを食べていいなら構いませんよ。殿方が見るようなちょっとアレな漫画雑誌の女性のような甘美な一時をあなたに差し上げましょう』 『ほほう、どのように?』 『まず、あなたの頭蓋骨に穴を空け、脳みそを少し弄って……』 『やっぱ人間って多すぎるよねー。少しくらいは減った方がいいよねー』 人類のみなさん、ごめんなさい。俺は弱い子です。 でも頭に穴開けるとか脳みそを弄られるような快楽はごめんなのです。 ∴ 人食いさん。 人食いさんは人食いさんである。人を食らうのである。
よく人が町でいなくなることがあるけれど多分人食いさんが人を食べているのだと思われる。弱肉強食、自然の摂理を信仰する俺としては大した問題とは思えない。交通事故で人が跳ねられて死ぬようなものだ。 今日も町のどこかで人食いさんの小さな唇が耳の裏側まで引き裂かれ、人をバリボリ飲み込んでいることだろう。 人食いさんは人の形をしているだけなので、わりと変幻自在だったりする。 「あなたのことが好きです。あなたの望む姿になりましょう。あなたの性癖の望むまま、ケモノの姿であろうと、触手全であろうと、脂ぎった中年男性だろうと、私は私を愛してくれるのなら全てを受け入れ、あなたの願いを叶えましょう」 「……はて、人食いさんはこの俺をどういう目で見ているのかな」 「性的にも食欲的にも私の好みといったところですわ」 「ほほう、それは全力で逃げたくなるような一言ですね」 「でしょう?」 「うむ」 「うふふ」 「ははは」 そんな命のやりとりをする日常的な非日常。 人食いさんの腹の虫は今日も鳴る。 「ばっかだなあ、ワタシ。ワタシらしくないなあ。……今のままでもいいじゃん。楽しいし、彼を独占できるし、文句なし……なのに、本気出しちゃうなんてさ」
ワタシの周りには何でもあった。本当に何でも。 容姿が良かったから子供の頃から可愛がられてきたし、特をすることが多かったし、勉強も人並みにできたから何も苦労することはなかった。 美しさのパーセンテージは社会生活を営む上での難易度設定に密接に関わっていると知っていたわけ。 簡単にいえば美人は得をして、不細工は損をする。 ただそれだけのこと。 褒められるのは好き。 容姿だけと言われるのが嫌だから、性格もそれなりに作ってきたし、女子特有のグループ派閥にも注意して生きてきたし、悪口は一言もいったことのない生き方をしてきた。告白をされれば、今特にそういう気持ちはないから、と優しく断った。 秋本くんに興味を持ったのは、ちょっとした遊びからだった。 秋本くんは当初からワタシには全く興味がなさげで、そもそも恋愛というモノに疎いようだった。まあ当時からあの姉が“ああだった”のだからそれもそのはずで、彼は草は食(は)む水牛のごとくのんびりと生きていた。 それがワタシのプライドを刺激した。当然ワタシはクラスで一番の人気があって、どんな男子も少なからずワタシのことを意識していた。なのに秋本くんはワタシの隣の席になっても全く態度は変わらず、モーションをかけても態度は一貫して変わることがなかった。 ホモかゲイか、小児性愛者かと疑ったこともある。でも違う。 分かったことは頭が悪いことと、お人好しだということだけ。 裏表のない人間で、頭が悪いから、よく人に騙されていたし、騙されている、損をしているということに気がつかない人間だった。そこまで頭が回らないのだ。過保護に育ってきたせいなのかは知らない。 クラスの男子がいつものように秋本くんにお金を借りていた時、それが運命の分かれ目だったような気がする。合わせて十回以上の借りがあるのにまだ借りようとする男子を注意した時、秋本くんがワタシにありがとうと言った時、もうワタシは既に夢中だった。 欲しいと思った。今まで欲しいと思った物は全て手に入れてきた。それだけの頭脳と容姿がワタシにはあったから。 だから手に入れられない存在だと思った時、非常に苛立った。我慢をしなければいけないという初めての経験にワタシは耐え難い苦痛を感じた。 彼とおおぴらに付き合うことはできない。でも欲しい。彼が欲しい。 あのイカれた女さえいなければ、全てが全てうまくいくのに何で。 手に入らないなら、いっその事、壊れてしまえ。 願いが叶わないなら消えてしまえ。 ワタシの手で、私の牙で噛み砕かれろ。 だから虐める。だから彼を壊す。 二人だけのヒミツ。二人だけの関係。 思わぬ方向でそれは叶った。それが嬉しい。 でも、彼はワタシ以外にも関係を持っていて、体を売っていて、ワタシに助けを求めた。 腐った聖職者に犯され、狂った姉に犯されて、ワタシはどうすればいいのだろうか。 いや、もう答えは出てる。これほどのチャンスはもう無いから、することは決まってる。 あの二人を止めることができたら、秋本くんとワタシはまともに付き合うことができる。 だからワタシはあの二人を。 |
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幸せになりたいと思うけど、幸せを手に入れた瞬間、幸せを失うことを意識しなければならない。いつか消えてしまうことに怯えなければならない。だったらずっと不幸のままでいい。
あとネットで小説とか書いてます。ヤンデレとか好きです。
∴ プロフィール
HN:
鬱
年齢:
125
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1900/06/07
職業:
ニート→ライター(笑)→ニート
趣味:
読書、アニメ、映画鑑賞、引きこもること
自己紹介:
幸福論でいけば確実に不幸な人間です。それに加えて変人です。自分ではそうは思わないのですが、みんなが口を揃えて変人というので多分そうです。人間関係苦手です。そんな名古屋人。
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